私は、心の動きが入っている作品が好きだ。

そして私自身も、自分の感じたことや願望を形にしている。
また、通常目に見えないものや、心の動き、風、音、魂、エネルギーを形にしていくことを強く意識するようになった。
具象的なものを作る時にも、制作の前段階で、私の心を総動員させる。

庭のポーチに1m位のモザイクを作って欲しいという注文が入った時のこと。

Mrs.Mから受け取る印象と、家族から感じる印象を、私の感覚を研ぎすまして受け止め、それを具体的な形にする。
制作は、心の交流。

私はその人の良いものを受け取り、良い気持ちになる。
その幸せな気持ちを感謝の気持ちと制作でお返しする。

その様な私が出会った最高の題材。

それは・・・「アナン、」(飯田譲治・梓河人著 講談社文庫)という小説。
私はその表紙のモザイクの龍を制作した。
この物語のことを思い浮かべるだけで、満ち足りた感情が沸き上がって来る、美しく、神秘的な小説。
死を覚悟していたホームレスに拾われた赤ちゃん(アナン)が、成長し、モザイク作品を作ることに夢中になる。
そして様々な人と関わりながら、少年アナンが、タイルやガラスモザイクで飾られたクアハウスを作る。
その描写は、まるで物語の登場人物と共に、その美しいものを見ているかの様だ。
アナンの作る「森の湯」と「海の湯」はとても幻想的で、美しい。

・・・以下、太字は小説より引用して紹介します・・・

白金のような砂浜、淡いパープルの波、むこう岸は遠く青いもやがかかっている。
ふたりの目の前には今、夢のような入り江が広がっていた。
パステルカラーの珊瑚礁に泳ぐ、色鮮やかな魚の群れ、海面からさしこむ光、泡。

そして、次の感覚は、私達モザイチストは、作品の完成の瞬間にいつも感じているのではないだろうか。

その瞬間、ただのかけらは大きな世界の一部分になった。
そこになくてはならないものに。

一人一人がかけがえのない存在であるかの様に。


やがてクアハウスが完成し、壁や湯船をモザイクで飾られたお風呂に入ると、皆、この上なく幸せな気持ちになるのだ。

美の中に肉体はとろけ、魂が浮遊していく。

 

私の最大の夢は、このクアハウスを実際に作ること。
大勢の人に入ってもらい、癒しの時間を体験してもらいたい。
モザイク抜きにしても、暖かく、神秘的で、全てを包み込んでくれるような愛を感じる小説だ。

この場を通して、人間愛に溢れた小説「アナン、」の一部を紹介出来た事を幸せに思う。
私の夢は、非常に大きなスポンサーを必要とするが、必ず実現することと信じている。


    

アナン文庫本
アナンの龍
愛と平和と希望の卵

小説「アナン、」(上・下) 講談社文庫

飯田 譲治/梓 河人 著

アナンの龍 〜光へ

愛と平和と希望の卵

(作中に登場する卵をイメージして制作)

振ると音が出ます。

 

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